価格交渉促進月間なのに、値上げを切り出せない社長へ―なぜ、王将・マック・ディズニーは「客離れ」したのか、しなかったのか?

値上げ価格交渉経営営業

結論から言うと、最近の「値上げ」で有名な王将もマックもディズニーも、果敢に値上げをしながら、業績アップに挑戦してきました。

ただ、今、インフレの日本経済の状況の中で、このまま値上げをしていくのかどうなのか、踊り場の要注目の場面です。

中小企業にとって、客が離れる・離れないを分けていたのは「いくら上げたか」ではなく、「その値上げに見合う価値を、客に見える形で示せているか、納得してもらえているか?」ということです。

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この記事では、実際に値上げした4社の明暗を見ながら、あなたが値上げを切り出せない本当の理由と、その対策を一緒に整理していきます。

毎年9月と3月、経済産業省は「価格交渉促進月間」を設けています。大企業などの発注側に、中小企業との適正な価格交渉に応じるよう促す取り組みです。今年もこの9月がまさにその月にあたります。

中小企業庁は原材料費や人件費の上昇分を下請価格に反映させるため、毎年3月と9月をこの月間と位置づけ、発注企業と受注企業の価格交渉を後押しする取り組みを行っています。2025年9月時点の調査では、コストの増額分を一部でも取引価格に転嫁できた企業の割合(価格転嫁率)は53.5%にとどまっており(中小企業庁「価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果」)、制度はあっても、価格転嫁が思うように進んでいない企業がまだ半数近くあるのが実態です。

ただ、僕がこの制度で気になるのは「価格交渉に応じてもらえるかどうか」の前に、そもそも多くの経営者が、値上げを”切り出すこと”自体をためらっているという現実です。

原材料費も、光熱費も、人件費も上がり続けているのに、取引先や顧客にそれを伝えられない。伝えても、丸め込まれて結局そのままになってしまう。心当たりのある方は、少なくないと思います。

言うまでもなく、結局、商売は「利益」がないと、生きていけません。

この記事を読むとわかること

  • 王将・マック・ディズニーなど値上げした4社で、実際に何が明暗を分けたのか
  • 値上げを切り出せないのは性格や根性の問題ではなく、何が本当の原因なのか
  • 薄利多売から抜け出し、価格の主導権を握るために何をすればいいのか
  • 「値上げしても客が離れない会社」に共通する、たった1つの条件
目次

価格交渉促進月間なのに価格転嫁が進まない、中小企業の9割が抱える現実

価格転嫁中小企業

日本商工会議所・東京商工会議所が実施した「中東情勢の緊迫化による中小企業へのエネルギー等の影響調査」によると、中東情勢の緊迫化によって経営に何らかの影響が生じている企業の割合は92.5%にのぼります。これは一部の会社だけの問題ではなく、ほとんどの中小企業が直面している状況だということです。

具体的には、次のようなコストが同時に上がり続けています。

  • 原材料費(輸入原材料・燃料費の高騰)
  • 電気代・ガス代などの光熱費
  • 最低賃金の引き上げに伴う人件費
  • 物流費・配送コストの上昇

これだけの要因が重なっているのに、価格に転嫁できていない会社が大半だというのが実情です。まず知っておいてほしいのは、「値上げを言い出せない自分がダメなんだ」と、自分の性格や根性の問題として抱え込む必要はない、ということです。

値上げが「言えない」のは、性格の問題ではない

僕は25年間、営業の現場に立ち続けてきました。その中で分かったのは、値上げを切り出せない本当の理由は「関係が壊れるのが怖いから」という感情の奥に、もう1つの原因が隠れているということです。

それは、自社の商品・サービスの価値を、自分の言葉で説明できていないという問題です。

値段を上げる理由を聞かれたときに、「原材料が上がったので」としか言えない。それ自体は事実ですが、それだけでは相手にとって「じゃあ他を探そう」という選択肢を残してしまいます。

「だから、何?」と冷たく言われかねませんね(T_T)

すごくストレスを感じる言い方かもしれませんが、かかるものは、かかるので、しれっと価格をあげさせてもらえばいいのですが、なかなか、そうは簡単にいかないのが殆どです。

その時に、あなたの代わりはいくらでもいるのかどうか?


あなたは、替えのきかないあなた自身になれているかが大事です。

それをきちんと言語化できているかどうか?

自分の所の商品やサービスが、どうしても相手にとって必要な商品やサービスになれているのか?
お客様が、今さらあなた以外の商品やサービスに変更するのは、相手にとってすごく負担になってしまうくらいの重要な存在になれているのか?


義理と人情も絡ませながら、相手への継続的な貢献や利益のために、「どうしても」値上げが必要なんですよと伝えられているかどうか?
顧客と感情的にも結び付けられているかどうか?

上記から分かる通り、値上げが通るかどうかを分けているのは、ただ、話し方のテクニックだけではなく「自社、自分の価値を、自分の言葉できちんと説明できているかどうか」です。

相手へのメリットを伝えることも大事です。

マーケティング用語で、アップセルという上位の、より値段が高いグレードアップ販売の概念がありますが、価値を伝えて、より高い金額をきちんと理由を付けて頂く、その概念を応用するのです。

例えば、僕の前職のホテル会員権販売の時代には、最初、500万円の会員権で契約を頂いても、その後、800万円、1400万円などと、差額を頂きながら、どんどん上位価格帯の値段があがった商品にグレードアップして頂いていました。

値段だけで勝負してはいけません。価値と感情的な絆で勝負するのです。

薄利多売から抜け出せない人に共通する、たった1つの盲点

「安さ」で選ばれ続けている限り、いつまで経っても価格交渉の主導権を握れません。(特に、中小企業、零細企業は、薄利多売は、しんどすぎます。)

なぜなら、お客様が比較しているのは「あなたの商品の価値」ではなく「価格」だからです。価格で選ばれたお客様は、もっと安いところが現れれば、そちらに移ります。これは薄情なのではなく、当然の行動です。

逆に具体的に改めて言えば、次のような状態を作れれば、価格の比較そのものが起きにくくなります。

  • 「価格」ではなく「価値・体験」で選ばれている状態を作る
  • 他社では代替できない要素(一次情報・専門性・実績・信頼性)を言語化する
  • 「安いから」ではなく「あなただから」頼まれる理由を持つ

僕は、営業マンだったので、新規営業の場合は、会社の信頼も、商品の良さも、自分の信頼も売りました。

要は、営業、価格交渉などの場面では、価格だけで勝負しないようにするためにも、徹底的な信頼関係構築は、非常に効きます。

営業的には、相手のことを観察して、質問をして、相手のニーズ、ウオンツをなるべく満たして、相手の自己重要感を満たすようにも努力しました。

相手の自己重要感を満たすとは、何もすごいことをすることではありません。当たり前のことを当たり前にするということです。相手への連絡、報告、礼儀礼節、笑顔、ちょっとしたジョーク、そして愛情。

僕は思いますが、ビジネス界は、結構、薄情で愛情が薄い人が多いです(笑)。ニュースでもトンデモナイ不誠実な事件や話題がありますよね。(値上げの話ではないですが、僕も、あまり儲かって無さそうなボロボロの格好をした弁理士に商標登録の仕事を任せて、先にお金を10万円程払ってあげたら、そのままトンずらされました。これでは、その人のビジネスが繫栄するわけありません。。。)

お客様は、安心信頼できるところから商品を買いたいのです。

でも、そういった世界の中で、あたたかく、真面目で、笑顔で、誠実で、愛情がある、相手を大切にするあなたがいたらどうでしょうか??

最近では、大企業でも、様々な不祥事が起きています。

でも、誠実で、頑張ているあなたにはチャンスがあります。

チャンスがあるのです!

ここまでで分かるのは、値上げできるかどうかは「勇気があるかどうか」の話ではなく、「あなたや、あなたの商品やサービスの価値を見える形で示せているかどうか?」という、練習で身につけられるスキルの話だということです。

大切なのは、自社商品や、あなたの存在意義を伝えていくということなのです。

値上げしても客が離れない会社は、何をしているのか

値上げ成功事例会社

ここからは、実際に値上げを行った企業の事例を見ていきます。「値上げすれば必ず成功する」という単純な話ではなく、成功と苦戦、両方の実例から本当の分かれ目を見ていきましょう。

業界業種によっては、うちとは違う、と感じるかもしれませんが、エッセンスは学べるはずです。

マクドナルドの場合

  • 2022年3月、日本マクドナルドは一部商品を10〜20円値上げ
  • ビッグマックやマックフライポテトなど、全体の約8割の品目は据え置き
  • その後も同社は複数回の値上げを重ねているが、2024年2月時点のデータでは客数3.2%増・客単価2.5%増と、値上げ後も業績が向上し続けている

全品目を一律に上げるのではなく、一部に絞ったことが、値上げの印象を和らげたと考えられます。僕は、マックが、一定の顧客にとって「いつもの安心なお店という大きな信頼感」が勝因ではないかな、と考えています。

吉野家をはじめとする牛丼チェーンの場合

  • 2021年10月29日、吉野家は牛丼並盛を387円から426円に値上げ(2014年以来、7年ぶり)
  • 同年12月23日にはすき家も牛丼並盛を350円から400円に値上げし、追随する形となった

専門家の分析では、業界のトップブランドが先に値上げすると、後発の企業も追随しやすくなり、業界全体として値上げへの抵抗感が下がるという構造があるとされています(なお松屋は、吉野家の値上げに先んじて9月下旬の時点ですでに一部商品の価格改定に着手していました)。

ただ、両社とも売上は増えているものの、両社ともに牛丼部門の利益は圧迫されています。

度重なる値上げでも急激な原材料費・人件費・物流費の高騰を完全に補いきれず、直近の動向では吉野家・すき家ともに「増収減益」となる苦しい局面が見られます。

すき家(ゼンショー)に関しては、店舗の老朽化対策や衛生管理強化(清掃や改装)に伴う追加コストも減益の大きな要因となっています。

最近の値上げ後における吉野家・すき家の業績は、「客単価上昇により売上は伸びている(増収)ものの、客離れとコスト高を吸収しきれず利益は落ち込んでいる(減益)」という状況と言えるかもしれません。

むむむ。。。という気持ちになりますね。要観察です。

餃子の王将の場合

  • 王将は2022年から2025年にかけて5回の値上げを実施
  • 看板の餃子は西日本で242円から363円まで上昇
  • 2025年3月期決算は売上高1,110億円(前年比9.5%増)、営業利益109億円(同6.0%増)となり、4年連続で売上高・営業利益ともに過去最高を更新
  • 2024年6月・2025年2月と期中に2度価格改定を行ったが、どちらの改定後も客数は増加し、好調を継続

値上げと同時に、国産原料へのこだわりや新メニューの投入など、「なぜ値上げするのか」を目に見える形で示し続けたことが理由です。

ただし、ここには続きがあります。

  • 2026年3月期は一転して、連結経常利益が前期比5.4%減の107億円に
  • 特に1〜3月期の経常利益は前年同期比17.3%減となり、売上高営業利益率も11.2%から9.4%に低下

値上げは、短期的には確かに通用します。ただし、それには天井があるということです。

現在時点では、餃子の王将は明らかに、値上げ戦略の過渡期を迎えており、今後の動向が注目されます。

僕個人的には、餃子の王将の対象の顧客層、普通の所得階層の人の所得がそんなにあがっているわけではないので、値上げ攻勢はいったん一服し、次の販売企画をうつ段階だと思います。

お客様の財布にも限界があるということですね。

東京ディズニーリゾートの場合

  • 運営元のオリエンタルランドの2026年3月期の売上高は7,045億円と過去最高を更新
  • ゲスト1人あたりの売上高も1万8,403円と過去最高
  • ところが、人件費や設備投資コストの増加がそれを上回り、営業利益は2.1%の減益
  • 株価は2024年1月の高値から2026年5月には約6割まで下落

絶対無二の存在として、東京ディズニーランド売上は過去最高でも、コストの上昇スピードに値上げが追いつかず、市場からは厳しい評価を受けているという状態です。

値上げしても減益というのは、なかなか、実は、つらいものがあります。

「値上げしすぎ」ではなく「値上げに見合う投資ができない」ことが本当の問題

宿泊業界を見ると、もう1つ違う教訓が見えてきます。

  • 星野リゾートは「星のや」「界」「リゾナーレ」など、客層ごとにブランドを明確に分けている
  • 売っているものを「部屋」ではなく「その土地でしかできない体験」と定義している
  • だからこそ、単純な価格比較が起きにくく、単価を上げても稼働率が落ちない

僕自身、石垣島で一棟貸切のヴィラ(高級貸別荘)を3棟運営しています(石垣島ザミヤラガーデン)が、この構造は肌感覚としても納得できます。

うちの施設に泊まりに来られる経営者の方々は、他の宿泊施設と部屋の広さや設備を比較して選んではいるのでしょうが、さらに強く、「石垣島のここでしか過ごせない時間」を求めて来られている印象があります。

リピーター様の利用が目立つのも、部屋そのものより「特別な南国での体験」を買っている証拠だと感じています。

一方で、次のような現実もあります。

  • 帝国データバンクの調査によると、2025年に発生した宿泊業の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は89件で、前年の78件から2年連続で増加
  • ただしその主な原因は「値上げして客に嫌われた」ことではなく、老朽化した設備を改修する体力がなく、インバウンドが求める高単価帯についていけなかったこと
  • 実際、創業100年近い富山の老舗旅館「喜泉閣」も、光熱費・原材料費の高騰分を宿泊単価に転嫁しきれず赤字が続いたうえ、老朽化した設備の修繕資金が続かず2025年に破産

つまり、値上げの本当の分かれ目は「いくら上げたか」ではなく、「上げた分だけの価値を、客に見える形で示せているか」「その価値を作り続けるための投資体力があるか」という、たった1つの軸に集約されます。

もちろん、値上げの前に、売上利益が下がり続ている状態ならば、かなり重症なので、別の策も根本的に考えなくてはなりません。

価格交渉促進月間の前に、あなたが見直すべきコンセプト

ここまでの話を、ご自身のビジネスに当てはめて考えてみてください。値上げを切り出す前に、まず問うべきは「値段」ではなく「自分が売っているものは、お客様にとって何なのか」ということです。ここが言語化できていないと、値上げの理由も、価格交渉の言葉も、説得力を持ちません。

ただ、これは一人で気づくのが難しいことでもあります。僕自身、25年の営業経験の中で、自分の商品の価値を言葉にできるようになるまでには、時間がかかりました。

でも、今は、ChatGPTやClaude、Geminiなどの便利なAIもでてきています。これらを使いながら、あまり難しく考えず、「こういう時は、どんな表現がベストですか?」など、どんどん使ってみることをおススメします。

僕も、AIが出てからは、ずっとAIの使いっぱなしで、手が離せません。

もし「自分では、なかなか気づけないし、AIもよくわからない」と感じたら、一度、僕の個別講座で、あなたの営業やビジネスの「売れない原因と次の一手」を一緒に見つけることもできます。(ストアカでの営業講座)

よくある質問

Q. 価格交渉促進月間とは何ですか?
A. 中小企業庁が毎年3月と9月に設定している取り組みで、発注企業と受注企業の間の価格交渉・価格転嫁を促進することを目的としています。

Q. 値上げをすると本当に客は離れるのですか?
A. 値上げ幅そのものより、値上げに見合う価値を客に見える形で示せているかどうかが、客離れの有無を大きく分けます。本記事で紹介した企業の事例でも、値上げをしたからといって、客離れを必ずしも起こしているわけではありません。インフレで、色々な経営経費がかかる中、多くの企業が、難しいかじ取りを強いられています。

Q. 値上げを切り出せないのは、性格や交渉が苦手なせいですか?
A. 性格の問題ではなく、コンセプト設計・セールス設計・交渉技術・コミュニケーション能力という、訓練で身につけられる構造的なスキルの不足であることがほとんどです。あなたの会社の商品、サービスが、どこにでもあるようなものなのかどうかという点も大きいです。相手にとってなくてはならない存在になるために何をすればいいのか?今一度、検討してみましょう。

主な対消費者への値上げの成功事例(日本企業中心)

最近(主に2024〜2026年頃)値上げを実施しながら業績を伸ばしたり、顧客離れを最小限に抑えたりして成功したとされる企業は複数あります。値上げ単体ではなく、「付加価値の向上」「顧客体験の強化」「段階的・選択的な価格改定」「値上げ益の再投資」などを組み合わせたケースが目立ちます。

  • 丸亀製麺(トリドールホールディングス)【楽券_eギフト】丸亀製麺 1,000円
    2022年から連続で値上げを実施し、2025年1月にも主力の「釜揚げうどん」「かけうどん」などを30円上げました。同時に子ども向けセットメニューや小サイズうどんの投入、無料薬味の拡充などで家族連れや節約志向の顧客を取り込み、来客数はほぼ横ばいを維持。2024年3月期の事業利益は過去最高を記録しています。
  • 鳥貴族 鳥貴族 TORIKIZOKU マスコットコレクション
    過去に値上げで一時的な客離れを経験しましたが、その後も段階的に価格を上げ(例:一品280円→370円前後)、値上げ益を国産食材への切り替えやDX(アプリなど)に再投資。2023年以降は客数が回復・増加し、過去最高益を達成しています。
  • CoCo壱番屋(壱番屋) 壱番屋 ココ壱 ココイチ カレー レトルト 人気 セット
    2019年以降、小幅な値上げを複数回実施。トッピングの選択肢を豊富にすることで「値上げ感」を薄め、2025年2月期には過去最高益を更新しました。ただし2026年2月期は一転し、コメなど食材の仕入れ価格・物流費の高騰を値上げで補いきれず、営業利益は4.3%減、純利益は19.2%減という結果になっています。
  • QBハウス 
    2019年にカット料金を1080円→1200円に改定。既存店客数の減少は約2%にとどまり、「依然として最安水準」というポジションを維持しながら増収・出店拡大を実現。
  • 日高屋(ハイデイ日高) 【ふるさと納税】日高屋 冷凍生餃子 【120個】
    2024年12月に全体の約7割の商品を値上げする一方、人気のレモンサワーなど「ちょい飲み」需要を支える商品は据え置き。客単価向上を狙い、選択的な値上げでバランスを取っています。
  • ワークマン ワークマン 冷感 tシャツ
    単純な値上げではなく、既存商品の文脈を変えて付加価値を高める戦略。溶接用ウェアをキャンプ向けに再定義し、インフルエンサーを活用して高価格帯のヒット商品を生み出しました。
  • ユニクロ(ファーストリテイリング)UNIQLO ユニクロ エアリズム
    原材料高や円安を背景に段階的な値上げを実施しつつ、IPコラボ(高付加価値商品)を強化。国内事業の営業利益率が2023年頃の13%台から2024〜2025年にかけて16〜18%前後へ回復するなど、コスト増を上回る利益改善を達成。海外事業も好調で、グループ全体で連続の過去最高業績を更新しています。
  • その他外食・食品関連
    サガミホールディングスなど中部の外食企業は、コメ価格高騰を背景に値上げを実施し、2025年3月期に増収増益を達成。カルビーも価格改定と一部内容量調整を組み合わせて対応しています。

成功の共通ポイント

  • 全商品一斉の大幅値上げを避け、主力・集客商品は守りつつ他を上げる。
  • 値上げと同時に新メニュー・サービス・品質向上を投入して「納得感」を作る。
  • 顧客の声をアンケートやSNSで拾い、施策に反映。
  • 値上げ益を体験・品質に再投資してリピートを促し、自社のビジネスモデルを強化。

一方で、値上げ後に大幅な客離れや業績悪化を招いた失敗例(例:一部の天丼チェーンやステーキチェーンの過去事例)も存在し、値上げ幅と提供価値のバランスが重要とされています。

一般的な対取引先への値上げ交渉、価格交渉とは違うかもしれませんが、新規事業や、新しい儲けの源泉を探す時に役に立つ事例ばかりだと思いますので、是非、参考にしてください。

まとめ:値上げできないのは、あなたの人柄のせいではない

値上げを切り出せないのは、あなたが優しすぎるからでも、根性がないからでもありません。ただ、自社の価値をまだ言葉にできていないだけです。

どういうことでしょうか?

  • コンセプト設計(何を売っているかの定義。誰に、何を、どのように!)
  • セールス設計(価値の伝え方の順番、他社との差別化)
  • 交渉技術(値上げの理由の伝え方)
  • コミュニケーション能力(関係を壊さない伝え方)

今日ご紹介した会社たちも、うまくいっている間は「価値の見せ方」が上手で、つまずいたときは「価値を育てる投資」が追いつかなくなっていました。

この4つは、性格ではなく、訓練で身につけられるスキルです。

まずは、あなたの商品やサービスが持っている本当の価値を、一緒に言葉にするところから始めてみませんか。

この記事のまとめ

  1. 値上げで客が離れるかどうかを分けるのは、値上げ幅ではなく「価値を客に見える形で示せているか」
  2. 中小企業の92.5%が中東情勢によるコスト増の影響を受けているが、価格転嫁率は53.5%にとどまる(日本商工会議所調査、中小企業庁調査)
  3. マクドナルドは全品目の約8割を据え置く選択的値上げで、値上げ後も客数・客単価ともに増加
  4. 吉野家・すき家は値上げで増収を確保したが、コスト高を吸収しきれず「増収減益」となっている
  5. 王将は4期連続で過去最高益を更新したが、2026年3月期は一転して経常利益が5.4%減に
  6. オリエンタルランドは売上・客単価とも過去最高を更新しながら、コスト増で営業利益は2.1%減益
  7. CoCo壱番屋は2025年2月期に過去最高益を記録したが、2026年2月期は原材料高で減益に転じた
  8. 星野リゾートは「部屋」ではなく「その土地でしかできない体験」を売ることで、単純な価格比較を避けている
  9. 宿泊業の倒産89件(2025年)の主因は「値上げして嫌われた」ことではなく、設備投資に見合う体力がなかったこと
  10. 値上げが切り出せないのは性格の問題ではなく、コンセプト設計・セールス設計・交渉技術・コミュニケーション能力という訓練で身につくスキルの不足

参考:中小企業庁「価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果」日本商工会議所・東京商工会議所「中東情勢の緊迫化による中小企業へのエネルギー等の影響調査」帝国データバンク「宿泊業」の倒産・休廃業解散動向(2025年)、王将フードサービス2025年3月期決算短信、オリエンタルランド2026年3月期決算説明資料、各種報道(日本経済新聞、東洋経済オンライン、ITmedia、Forbes JAPAN、北國新聞、中日新聞 他)

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